
2014年度 第2回ベスト・プロデュース賞 受賞者
クロマグロ完全養殖プロジェクト(近畿大学 / 近畿大学水産研究所)
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【選考理由】 |
我が国は世界一のマグロ消費大国であり、海外でもマグロ需要が急増し、捕獲高が減少の一途をたどっている、マグロの完全養殖を成功させた功績、
また産官学が連携した消費者へのマグロの直接提供という、大学による水産業の六次産業化プロジェクトを成功させた例として、日本の食の未来に希望を与えた功績を讃え推挙。 |
【プロジェクトの概要】 |
実現不可能と言われた「クロマグロ完全養殖」に挑戦し、様々な魚の養殖で培った経験と技術を生かして、2002年に世界で初めて成功した。 その後も研究を重ね、2013年には大学発ベンチャー企業・株式会社アーマリン近大が、サントリーグループ等と協力して大阪梅田と東京銀座に養殖魚専門料理店「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」を開店。 産学連携の成功例として大きな話題となり、今も行列が絶えない人気店となっている。 安心安全で美味しい近大の養殖魚は、養殖魚の価値を高めただけでなく、世界的に漁獲量の削減措置がとられるクロマグロの供給維持にも貢献が期待される。 |
【受賞した感想】 |
この度、「ベスト・プロデュース賞」という素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思っております。 研究開始から32年をかけて成し遂げた「クロマグロ完全養殖」、そして養殖魚研究の成果を直接消費者に届ける「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」の開店は、まさに本学の建学の精神「実学教育」を象徴する取り組みです。特に、水産研究所店舗では文芸学部芸術学科の学生が食器を制作したり、農学部食品栄養学科の学生がメニューを考案したり、学生が実学を学ぶ場となっています。 13学部48学科を有する日本屈指の総合大学として、今後も様々な研究や人材育成に取り組んでまいります。 |
【今後の活動などについて】 |
近年、天然資源の保護に対する関心が世界的に高まっており、日本でも水産庁が天然小型クロマグロ漁獲量の削減を決定するなど、漁獲規制が強化されています。
本学ではこの問題を解決するために、稚魚の生存率向上や人工飼料の開発など引き続き研究を進めてまいります。 また、先般、豊田通商株式会社との間で水産養殖事業の推進に関する覚書を締結し、クロマグロの人工種苗生産事業や海外での事業化にも本格的に進出いたします。 本学の技術を生かして持続可能な水産養殖事業を展開し、世界の資源保護に貢献したいと思っております。 |
【当プロジェクトにとって“プロデュース”とは】 |
本学の建学の精神は「実学教育」と「人格の陶冶」です。 世界的な水産資源の保護につながるクロマグロ完全養殖や、学生の教育の場でもある養殖魚専門料理店の開店は、どちらも「実学教育」の精神に根差した取り組みの成果と言えます。 このように大学界の常識にとらわれない取り組みによって、本当に社会に役立つ人材を“プロデュース” することが、本学の果たすべき役割だと考えます。 |